例えばある夜、いつもの帰り道で宇宙に出会う。目を細めてぼやけた視界の先では、信号や街頭の光が星々のように散りばめられていて、私はそんな夜道を闊歩しながら宇宙と交信を試みる。私たちはまだ宇宙に行くことが出来ないけれど、ほんとうはいつだって今生きている日常の中に宇宙を見出すことが出来る。
例えば路地裏で目にするアルミパイプの群れは、なんだか地球外生命体のように見える。置き去りにされた靴からは、そこでの物語を思い起こさせるし、街に点在するカーブミラーはいつもわたしを見ている。そうした何気ない想像から、わたしたちの日常の風景は、奇妙でおかしなものに変化していく。
同時代を生きるあなたの「日常へのまなざし」が更新されて、いつもの風景を見つめてみたくなるような、そんなきっかけを作れたらうれしい。